(ふぁ)Fantasy (ふ)Flavor (す)Spice (て)Text

わたちはファンタジーがすきでごじぃます
わたちが好きなファンタジー世界の雰囲気を感じていただければと思ってやり始めまちた
キラキラちた感じはどちらかと言うと少なくむちろ黒くてドロドロちた感じにしあかっがておりまする(YuY)モツニ!!

もくじ

誰でも手にする事が出来るとは限らない-幻の宝珠の書-
相性の主従と相互作用の連続-初級理術入門の書-
在りし者の有るべき姿-生態系が調和するためにの書-
微風と突風、春雨と豪雨-精霊術の基礎理解の書-
無を有に奇を常へ、表裏にあらず-尊人の行いの書-
派手であれば派手である程-隠伏者の装いの書-
継続するからこそ一瞬に意味が生まれる-継続する者の書-
危うしを近寄せず-危を躱す者の書-
内なる者は抑える事を知らず-揺り起こされた暴力の書-
牛の頭か?人の体か?-蹄の跡の書-
求める素質はどこに?-探索隊本部責任者の書-
本質を見極めるために-心眼に映すの書-
高いか?安いか?-効果に払う対価の書-
行く事が出来るから同じ様に戻る事が出来るとは限らない-冒険者をさとす村民の書-
入り口は迷い込んだ先の夢-眠りの街の書-
覚醒か?それとも...-薬物による効果の書-
理解の一歩目は真似る事から-写し身の心得の書-
宝の持ち腐れか趣味の範囲か-不思議な珍品も酒の肴の書-
頭のネジが外れた奴はどこにでもいる-危険に飢えたお訪ね者の書-
魂に寄生する命は特殊な力を持つ-予言の瘤の書-
大きな結果を生んだ要因を探るのは容易ではない-古法遺物調査員の書-
剣を扱う者が剣士だけとは限らない-熟練の名工の書-
用法を解するために-毒学士の書-
一度身を落とせば戻る事は出来ない-ならず者の掟の書-
立ち入ってはいけない場所もある-後悔する者の書-
有効な方法が力任せとは限らない-知恵ある踏破者達の書-
害は見える様になった時点ですでにどこかで巣食っている-亜人殲滅隊の書-
どんなにまっとうに生きても不運に見舞われる事がある-謂れのない呪いを受けた者の書-
怖いか?恐いか?-墓守のなぞなぞの書-
相応の対価-罪深き罪人に与えるの書-
存在する真実を本能が判断する-月光作用の書-
たった一度だけ訪れることには意味がある-死者はもう生ける者ではないの書-
気難しい賢者は話す者を選ぶ-賢人の選定の書-
鋭い観察と敏感な反応が実を結ぶ-初老の航海士の書-
怒らせずにからかう力量と経験の差-熟練の冒険者達の書-
全てが得てして比例する訳ではない-忌み嫌われる醜い男の書-
備えの無さから知恵は生まれない-領地に巣食う異の書-
心のときめきに年齢は関係ない-港町の青年の瞳の輝きを持った老人の書-
周期は違えど重なる事はある-双子の満月の書-
話の枕はあらゆる所に転がっている-人の振りを見て我が振りを直せない酒場の二人の書-
親子程も年が離れると伝える事もままならない-狩りの指南の書-
なぜそんなものがあるのかが謎-魔の製法の書-
偉きものほど頭を垂れよ-若き王と賢明な大臣の書-
外見的な華やかさとは裏腹に大切な事ほど内面的である-身の丈ほどもある剣を背負った冒険者の書-
経験による護身の術-熟練の甲板長の書-
蛮勇を目の当たりにして臆病を知る-老齢で色白な傭兵の書-
聞きたい真実と事実は必ずしも一致する訳ではない-聞き出す者の書-
ハイリスクハイリターン-右腕と左足のない白髭の男の書-
差というのは残酷な程浮き彫りにされるものである-武芸の達人の書-
意思を伝える方法が言葉だけとは限らない-森の木々達の会話の書-
ものは違えど好みの趣向は変わらない-食人族の会話の書-
よく見れば気がついたかもしれないが見えなければどうしようもない-旅商人の日記の書-
一時的なニーズを作り出す商売の基本-知恵ある農民の書-
日常が日常でいる事を静かにやめ始める-破滅の序章の書-
目的と手段-理と矛盾を解く者の書-
迷った先は幻か現実か...-背徳的なあの部屋の書-
どんな命であれ奪うには相応の覚悟がつきまとう-元拳闘師の冒険者に聞くの書-
需要と供給のバランスによって成立する-とあるギルド長との会話の書-
噂は誰かの戯言か?それとも真実か?-酒場で噂の塔の噂をするの書-
何かを手に入れるにはその代償が必要である-砂漠に住む若者の書-
価値観は人それぞれ突飛であるほど理解されにくい-強奪された伝来の宝珠を旅の者に取り返させる算段をする村長の書-
危機かどうかは直面した当事者による-二人の男の書-
数が重要という訳ではないが全くの不要という訳でもない-複眼族の族長の書-
皮肉か?恐怖か?哀れみか?-墓守のなぞなぞの書-
物質的理解を超えた事はどうにもならない-三流魔法使いの歌の書-
先人の知恵には従うべきか?-土地の伝承に脅える村民の書-
聞き知りはすれども-知恵者が言ったの書-
遊んで生きる術-ロートス売人の書-
知らずが幸せ-酒場で牢獄の残酷性について話し合うの書-

知らずが幸せ

投獄とは無縁そうな顔をした男が二人顔を赤くして麦酒の泡に鼻先を突っ込みながらなにやら話している
太った男:やっぱり高い搭の最上階にある牢獄が一番残酷だよ
痩せた男:いや、俺は深い地下にある牢獄のほうがひどいと思う
太った男:なんでそう思うんだよ?
痩せた男:だって考えても見ろよ?地下に行ったら日の光が届かないんだぜ?常にうすら寒くて息苦しい
太った男:あぁ、なるほどな
痩せた男:それに投獄されて何日たったかも図りようがないんだぜそんなの気が狂っちまうよ
太った男:確かにそれも辛いけど搭の最上階にある牢獄は日照りだろうと豪雨だろうと吹雪だろうと関係なく吹きっさらしだぞ俺だったら一日として耐えられないね
-酒場で牢獄の残酷性について話し合うの書-
▲!

遊んで生きる術

採れる場所さえ分かっていりゃ
いい代物だぜ
ちょこっと食らえば最高にハッピーな夢を見せてくれる
うまくさばきゃそれなりの金にもなる
白なら豪遊ピンクなら働かなくてよくなる黒なら死ぬまで遊んで暮らせる
ただ手に入れるのに苦労するのが気にいらねぇ
-ロートス売人の書-
▲!

聞き知りはすれども

わかるかね?
君が知っているのに知らない場所に君が内包しきれないくらい多量の知識が内包されているのだよ
その入り口は誰にでも見えるが誰にでも開けるわけではない
そう、気付かないのだよ
その真実に
-知恵者が言ったの書-
▲!

先人の知恵には従うべきか?

陽が登っているのに雨が降る
そんな時は家の中に居ろ
外に出ると決まってよくない事が起こる
-土地の伝承に脅える村民の書-
▲!

物質的理解を超えた事はどうにもならない

もし私に新しい魔法を作ることができるのなら
私は心の負担を分け合う魔法を作りたい

もし私に新しい魔法を作ることができるのなら
私は心の傷を塞ぐ魔法を作りたい

負担を分け合いきれなくてもいい
傷を塞ぎきれなくてもいい
そういう魔法を作りたい
-三流魔法使いの歌の書-
▲!

皮肉か?恐怖か?哀れみか?

気配はあるが音は無く
燃えているのに熱は無く
光があるのに影を落とさず
なーんだ?
-墓守のなぞなぞの書-
▲!

数が重要という訳ではないが全くの不要という訳でもない

我らは一二〇の同一なる個を認識して
初めて一つの個と理解するのだよ
たった二つを認識して一つの個と理解するのは
あまりにも雑ではないか
-複眼族の族長の書-
▲!

危機かどうかは直面した当事者による

二人の男が無数の狼に囲まれている
その状況で一人は胡坐をかいて目をつぶっているもう一人はニヤニヤしながら狼たちを見まわしている

胡坐をかいている方が目を静かに開き言った
「後ろの一回り大柄なやつだな」
そう言い終わる前にニヤニヤしていた男は突風の様に後方へ飛び出し左腕を掲げていた
掲げられた腕には所々まだらに黒い毛を生やした狼が強引につかみ上げられていた

「うん、そいつだ」
胡坐をかいていた男がそう言い終わるのと同時にニヤニヤしていた男はその狼を地面にたたきつけ始めた
一度や二度じゃない何度も何度も...
あっという間にその狼は黒いまだらな模様の入った紅色の絨毯の様になっていた

まるで興味を亡くしたおもちゃを投げ捨てる子供のようにその絨毯の様になった狼を投げ捨てた
-二人の男の書-
▲!

価値観は人それぞれ突飛であるほど理解されにくい

旅の者にやらせればよい
わざわざ村の者にやらせて
犠牲を出すよりも来訪者にやらせて
それなりの謝礼をすれば満足じゃろう

案ずることはない
もし失敗されてもわしらに痛手はない
もし成功したとしても物の価値などわかるまい
持ち去られる様な事は無いじゃろう
-強奪された伝来の宝珠を旅の者に取り返させる算段をする村長の書-
▲!

何かを手に入れるにはその代償が必要である

私はこの両目と引き換えに水の精霊と契約する
私は雨をふらせたいそれが出来るなら目なんていらない

私は私の生命が尽き果てるまで雨をふらせ続けたいの
-砂漠に住む若者の書-
▲!

噂は誰かの戯言か?それとも真実か?

変わらぬ日常の退屈にどっぷりつかった男が二人ぬるくなったエール酒を飲み干しながら何やら話している
赤鼻の男:そういや砂漠の中の塔の噂知ってるか?
福耳の男:あぁ、あれだろ?天辺が見えないくらい高くて蜃気楼と流砂の果てにあるってやつだろ
赤鼻の男:そうそう、それだよ、それでお前はどう思う?
福耳の男:ただの噂だろ
赤鼻の男:なんだよ面白味のない奴だな俺は本当にあると信じてる
福耳の男:おっ!ってことは何か根拠があるのかい?
赤鼻の男:いやっ、そういう訳じゃないけどよ
福耳の男:ないけどなんだよ
赤鼻の男:終身刑の罪人の中でも乱暴で手のつけられない様な奴らを閉じ込めておく監獄搭だって皆噂してるだろ
福耳の男:ちょっと落ち着いて考えてみろよ
赤鼻の男:何を考えるんだよ
福耳の男:蜃気楼と流砂の果てにあるんだろ?
赤鼻の男:あぁ、噂ではな
福耳の男:そんな誰も行けないような所にどうやってそんなバカ高い塔を建てるんだよ
-酒場で噂の塔の噂をするの書-
▲!

需要と供給のバランスによって成立する

ある人間は最も下劣な行為であると言う
だが最高の芸術であると言う者もいる
しかし私に言わせればナイフ一本で命を奪う事など
そのどちらでもない

よく誤解される事だから理解できる様に教えておいてあげよう
我々は人を殺したくて仕方がないわけではない
むしろそういう人間ほど我々からしてみると迷惑以外の何物でもないのだよ
考えてもみてくれたまえ
頼まれもしないのに人の命を奪う
これがどういう事か?
成立しなくなるのだよ
我々の存在そのものを否定する行為だ
もし我々の中に自らの衝動で快楽的に人を殺す者がいれば全力で処分されるであろう

我々は物的証拠を一切残さずあたかも元から存在していなかったか又は
突然消え去ったかの様に人の命を奪うことを生業としているのだから
-とあるギルド長との会話の書-
▲!

どんな命であれ奪うには相応の覚悟がつきまとう

一撃で息の根を確実に止めないと
自分の息の根が一撃で止められる
そういう覚悟で望まないとな

拳闘?

あーっはっはっ
何を言うかと思えば あれを茶番と言わずして何を茶番と言うんだい?
拳闘ほど一撃で勝負をつけることを嫌うものは無いだろう
なんと言っても観ている側がつまらない

観る側がある程度楽しんで興奮したタイミングで
どちらかがノックアウトされるのが楽しいから
商業として成立するのだろうよ?

そういう事じゃないんだよ
覚悟ってやつは
-元拳闘師の冒険者に聞くの書-
▲!

迷った先は幻か現実か...

部屋に入るとうす暗く
甘く芳醇ででも微かに苦く酸っぱい色々な物が盛っては廃れていく香りが立ちこめている

その奥に一人の老婆が座している

吸い込まれるように老婆の前に腰かけると老婆は話し始めた
ゆっくりとしかし一定のリズムで

苦しみ憎しみ嫉妬、虚無感それらに似た感情ををいだいた時ほど頑張りなさい闇雲にもがきなさい
そうすればあなたは大きく成長することでしょう
しかし気をつけなさい
成長の陰で少しずつ心は失われてゆきます

若々しく濡れた瞳と目蓋の染みとしわの現実離れした対比が異常なほど肉欲的だった

気がつくと活気ある夕暮れの通りに立っていた
鼻の奥にはまだあの部屋の香りが残っている
-背徳的なあの部屋の書-
▲!

目的と手段

抑力が及ばぬようになると発力が働き始めるそれと同じように
正の力が及ばぬようになると負の力が作用し始める
全てはそうやって成り立っている
ただ力の性質は全く逆だとしてもその力が及ぼす作用は
必ずしも逆とは限らない
無惨に腕を切り落とす、これを人は悪と言うが
再生不能な程の損傷を受けた腕を切断する、これを人は治療と言う
-理と矛盾を解く者の書-
▲!

日常が日常でいる事を静かにやめ始める

目の前にいる息子に母は話す
話の焦点が息子の理解に合わない話を

目の前にいる母に息子は何も言わない

尚も母は話し続ける
現実と夢の区別がつかない話
述語だけをつなぎ合わせた話

目の前にいる母に息子は何も言わない

目の前にいる母が本当に母なのかわからない息子
静かに立ち上がり陰が一番濃く落ちた部屋の隅を見つめる
陰が陽炎の様に歪んでいるような歪んでいないような
-破滅の序章の書-
▲!

一時的なニーズを作り出す商売の基本

ここに親指の先くらいのすごく美味しそうな果実が実っているだろ?
ちょっと食べてみろよ
言われるがままその実を一つもいで口に運んだ
するとじわりじわりと口の中を強烈な辛さが広がり早急にこの辛さを飲み流したい衝動に駆られた
後は分かるよな
ここから少しだけ離れたところで苔苺と谷桃のネクターを少しだけ値段を吊り上げて売る
どうだ?ちょっと多めの小遣いが稼げるだろ?
-知恵ある農民の書-
▲!

よく見れば気がついたかもしれないが見えなければどうしようもない

山道の下り道にさしかかるあたりで何かにつまずいたと思うと急に足元がなくなった
上を見上げるとどうやら穴に落ちたようだ
幸いなことに軟らかい地質だったらしく多少の打ち身とちょっとの擦り傷だけですんだ
その穴はかなり深く自力で登るはどうやら無理であると判断
よくもこんなに酷いいたずらを仕掛ける奴がいるものだ思いながら
落ちた穴の大きさを確認していると横穴が続いているのが見える
横穴を覗いてみると案の定、暗くてよく見えない
少しずつ目がその暗さに順応してはっきりとは見えないものの
ある程度は認識できるくらいに目が慣れてきた

どうやら何人かの人間が生活していた跡がある
その痕跡から考えるにどうやら古い避難壕か何かの様だった
時がたつにつれて地盤の変動と共にたまたま足元が崩れ
この避難壕に滑り落ちたのだろうと推測した
横穴に沿って歩けばそのうち外に出られるだろうと思いそのまま
何の疑いも持たず壁伝いに歩いて行った

そこが何かの胃袋の中であると気付くのはもうしばらく後になってからだった
-旅商人の日記の書-
▲!

ものは違えど好みの趣向は変わらない

お前はどっちが好きだ?
俺は断然女だね
とろける様な柔らかさと脂ののり方がたまらない
そうか俺は男のほうが好みだ
筋肉のおおい肉のほうが味が濃くていいんだよ
なるほど確かにそれも悪くないな
どちらにしろ痩せぎすはだめだ何の旨味もなくて
ありゃすじっぽくて挽き肉にするほかない
やっぱり肉はでかい塊がいい
-食人族の会話の書-
▲!

意思を伝える方法が言葉だけとは限らない

二度冬の雪が積もり三度春の暖かい陽光を受け三度夏の日差しを浴びた
その間ずっと落ちることなく紅葉したまま風に揺られていた葉っぱが
三度目の秋の木枯らしを受けてふわりと舞い落ちた

そうか元気でいるんだね
-森の木々達の会話の書-
▲!

差というのは残酷な程浮き彫りにされるものである

二人の男が対峙している
片方は剣を構え柄を握る手が白くなっている
もう片方は帯刀しているものの抜かず構えず普段と変わらぬ様子ではあるが
不思議と付け入る隙というものがほとんどない

剣でも拾うかのように半ば朽ち気味の落ちていた木の枝を拾うと言った
「さて、どこからでも」

剣を構えた男は目を見開き
「それは侮辱のつもりか」
と怒鳴った

半ば朽ちかけの木の枝を片手で柔らかに構えやや困ったような表情で
「若き身を案じているだけなのだが」
穏やかな口調でそう答えた

「舐めやがって!死んでも知らねーぞ」

剣を構えた男が罵声を吐いたその瞬間
軟らかな風が吹き抜けた
一瞬で間合いを詰め枝を手首の返しだけで振る
その挙動に対しての錯覚であった

しかしまるでずっと前からその姿勢であったかのように静止している

男が構えた剣の先端のみが地面に落ちた
まるで持っていた物を不注意で落としたかの様に

枝を振りあげて何かを払うように振り下げ投げ捨てると
先を失った剣を構えたままの男にやや厳しく圧力のある声で言った
「君はまず剣の腕よりも道徳と礼儀を学んだ方が良いな」
-武芸の達人の書-
▲!

ハイリスクハイリターン

明りを灯した跡がない暗くて深い穴には
大抵つついてはならない人の手に負えるものではない何かが眠っている
その分大きな見返りも大概の場合は一緒に眠っているものだがな
-右腕と左足のない白髭の男の書-
▲!

聞きたい真実と事実は必ずしも一致する訳ではない

これが何か分かるかな?
一見シガーカッターの様に見えるがそうではない
国王に対して嘘の報告を行った者などに対して使用されるのが一般的だろうが
私の場合は私が聞きたい真実を聞き出す時に使用するのが一般的だな
-聞き出す者の書-
▲!

蛮勇を目の当たりにして臆病を知る

勇敢だけが取り柄の若い戦士を何人も見て来たが
俺に言わせれば単なる馬鹿だな
まぁ皆死んじまったけどな

なんで俺がこの齢まで生き延びてこれたと思う?

臆病だからだよ
逃げることを恥ずかしいなんてこれっぽっちも思わねぇ
はっ、笑いたければ気のすむまで笑えばいい
俺は武勇を立てたくて傭兵をやってる訳じゃねぇ
実入りが良くて好き勝手出来るのが楽だからやってるだけだ
稼いだ金を使わずに死に急ぐのは馬鹿のやる事だ
-老齢で色白な傭兵の書-
▲!

経験による護身の術

夜の海をあまり見つめるな
こちらの目には映らなくとも
私達を監視し隙をうかがっている者達がこの海にはたくさんいる
そういった者達に連れて行かれれば
もう助けることはできない
魚が陸を走れないのと同じように
人間は水の中を自由に動き回る事が出来ないのだから
-熟練の甲板長の書-
▲!

外見的な華やかさとは裏腹に大切な事ほど内面的である

ガキの頃は歩くだけでがちゃがちゃ音のする剣を携えた剣士を見て憧れたもんだ
そうなるのに必要なのは筋力か?それとも扱う術か?って幼いながらに必死に考えてたな
しかしそういう事じゃないんだよ
必要なのは背負ったものを何に使うかって事だ
そいつに気が付いたのはこいつを背負って歩き回るようになってからだ
-身の丈ほどもある剣を背負った冒険者の書-
▲!

偉きものほど頭を垂れよ

恐れながらお聞きしますぞ若き王にして我が主人
今現在この国の領土はこの世界全体からしてみるといかほどの物と
お考えであられるかお聞かせ願いたい

んー、それはいささかおのぼせが過ぎるのではございませぬか?
いや失礼、誠に失礼
からかうつもりはこの髪の毛先ほどもございません
そして我々が有するものも全体からしてみると髪の毛先ほどもないことを
まず認識していただきたい
故にいかに王と言えどもまず敬意の念をお忘れになられぬ様お心にとめていただきたく
この様な無礼をいたしたのございます
まずは自らが小さきものであり多と同じであり
命をかけて守るべきものがあると御覚悟くださいませ
それは小さくされど大いなる一歩でございます
-若き王と賢明な大臣の書-
▲!

なぜそんなものがあるのかが謎

野生の豚の子宮を取り出し開き縫い合わせ人一人が入るぐらいの袋を作る
それを人間の羊水で満たし一ヶ月後に産月を控えた猿の胎児を入れる
それから一月も経てば何でも言う事を聞く魔が産まれてくるだろう
-魔の製法の書-
▲!

親子程も年が離れると伝える事もままならない

いいか、絶対にばらまくなよ
まず心を静かに構えるんだ
少しの緊張と落ち着き、全てとの一体感で心を満たすんだ
そしてよく見ろ獲物の軌道が目に焼きつくほど
次の動きが心に映るようになるまでよく見るんだ
そのスコープならそれができるはずだ
そこで初めて一度だけ引き金を引く獲物を苦しめず的確に急所を撃ち抜く一発だ...

んむ、お前にはまだ早かったようだな
だが何度も繰り返せば出来るようになる
-狩りの指南の書-
▲!

話の枕はあらゆる所に転がっている

いつもはくだらない話をしている二人の男が珍しく話題に詰まったのか
深い琥珀色の蒸留酒を静かにちびちび飲んでいると一人の来客が酒場の扉をくぐる

口髭の男:おっ、僧侶様がご来臨なされたぞ
色白な男:おお本当だ
口髭の男:久々か?
色白な男:何言ってんだよ、昨日もすれ違いではあるけどここに来てたろ
口髭の男:そう言えばそうだったな
色白な男:おいおいしっかりしろよ
口髭の男:にしてもあれだな、酒癖さえ悪く無ければお城の専属とかもっといい身分まで行ったろうに
色白な男:まったくだ、憑き物払いの腕はピカイチだって聞くからな
口髭の男:あぁ、それ以外にも護術を施して貰いに来る冒険者も度々見かけるからな
色白な男:ただなぁ、酒ばっかりはやめられたもんじゃねぇからな
口髭の男:まったくだ、へべれけになるまで呑まなきゃいいのにな
色白な男:そう言うお前さんはそれが出来るか?
口髭の男:まぁ、難しいな
色白な男:へへっ、だよな
-人の振りを見て我が振りを直せない酒場の二人の書-
▲!

周期は違えど重なる事はある

夜空に二つの月が昇る
片方はぽっかりとあいた空の穴の様に
片方はこちらを見つめる瞳の奥の様に
その明りの影に星たちは隠れる
-双子の満月の書-
▲!

心のときめきに年齢は関係ない

もうずいぶん昔の話になるが海を裏切った海賊がいたそうな
その結果片目を失い片腕を失い片足失い寿命の半分を失い
老人の様な姿になったと云う
しかし命までは取らなかった
生きて苦しみを味わえそういうことなのだろう
そしてその奪った物を隠した場所を海はその海賊に教えたと云う
よっぽど海に愛されていたのだろう
-港町の青年の瞳の輝きを持った老人の書-
▲!

備えの無さから知恵は生まれない

我々にはその道の知識が乏しい
自軍のみであの巣窟を一掃するのは難しい
さてどうしたものか?
-領地に巣食う異の書-
▲!

全てが得てして比例する訳ではない

暗い夜がまた訪れる
日の陰りと共に闇がやって来る
この暗い暗い闇が好きだ
醜い自分を人の目から隠してくれる
星が美しく輝く
この暗い闇が好きだ
-忌み嫌われる醜い男の書-
▲!

怒らせずにからかう力量と経験の差

未開を攻略するのが楽しい?
なるほど、ズブの素人さん達とお見受けする
いやいや気を悪くされたのなら申し訳ない
喧嘩をふっかけたい訳では無く今の言葉に気を悪くした部分を含め
昔の私たちの様であり今の私達とは目指すところが随分と違う
ん~、何と言えばよいか...
そう、初々しさを感じただけの事であることをまずご理解いただきたい
最近の私達と言えばその時その時を楽しむ事で精一杯だからな
それがどれほど誰かの足跡が残る場所であっても
-熟練の冒険者達の書-
▲!

鋭い観察と敏感な反応が実を結ぶ

波に逆らう波紋を見たら気を付けた方がいい
それは何かしらの予兆である
善き兆候か?悪しき兆候か?
そのどちらかは起こってみなければ解らない
ただ十分に十分過ぎるほどに注意することだ
-初老の航海士の書-
▲!

気難しい賢者は話す者を選ぶ

話を聞くにはまぶしすぎる光の闇を喰らい尽くし
真実の闇を呼ばなければならない

真っ黒な蝋燭に火を灯すと闇が満ちた

目の前には光の闇をうっすらと身にまとった
老人が立っていた
-賢人の選定の書-
▲!

たった一度だけ訪れることには意味がある

死者を生き返らせる術など無い
もし在るとしてもそれは人の扱うべき術ではない
そしてもし生き返らせる事が出来たとしても
一度死後の地で営みを持った者を
生ある地に呼び戻したところで
生前と同じ様に過ごせるとは思えない
-死者はもう生ける者ではないの書-
▲!

存在する真実を本能が判断する

真っ白で強く差し込む月光に起こされる事がある
そんな時は必ず男が叫ぶような狼が吠えるような
遠吠えが響く
-月光作用の書-
▲!

相応の対価

重い罪の代償の一つ
生きながらにして消える事のない炎に焼かれ溶ける事の無い氷に覆われる
焼けただれる苦痛と凍てつく苦痛を味わい続ける
燃え尽き灰になる事は無くまた凍りつき感覚を失うこともない
常に休まること無く苦痛を味わい続ける
-罪深き罪人に与えるの書-
▲!

怖いか?恐いか?

闇と共に目覚め
目的もなく歩き続け
陽の光と共に眠りにつく
跡には腐臭が立ちこめる
なーんだ?
-墓守のなぞなぞの書-
▲!

どんなにまっとうに生きても不運に見舞われる事がある

毎日だ、毎日だぞ!
俺が何をしたって言うんだ
自分が犯したわけではない罪を耳元で嘆かれ続ける
もう散々だ、頭がどうにかなりそうだ

お願いだ殺してくれ頼むお願いだよ
もう聞かされ続けるのに耐えきれないんだよ
-謂れのない呪いを受けた者の書-
▲!

害は見える様になった時点ですでにどこかで巣食っている

ちらりほらり見かける様になったな
そう遠くないどこかに巣穴ができちまったらしい
うーん、数からいうと50~60ってところか?
多くはないが少なくもない、こちらにも多少の被害は出てしまうだろう
これ以上数が膨れ上がらないうちにどうにかしないとな
んむ、大きな被害が出てからでは遅い
で?場所の見当は付いているのか
奴らを見かけた辺りから察して裏森の領境の辺りじゃろう
なるほど、あの辺の熊穴に住み着いたか
明日いっぱいでしっかりと準備して明後日の早朝から決行
日没までには片付けるぞ
-亜人殲滅隊の書-
▲!

有効な方法が力任せとは限らない

まずいな、囲まれてる

辺りに耳が痛くなる程の高音でさえずる鳥の鳴き声が響き渡っていた
しかしその鳴き声は鳥では無く猿の様な生き物から発せられていた
そしてその生き物が集団で取り囲むようにして行う狩りに遭遇した様だ

誰がやる?
俺がやるよ俺が一番うまいからな
大型犬が警戒時に発するような低く威圧感のある唸り声をあげた

すでに鳥がさえずる様な声ではなくパニックにおちいった猿の様に
むやみやたらにギーギーと吠えまくり声の主たちは離散していった
-知恵ある踏破者達の書-
▲!

立ち入ってはいけない場所もある

生きながらにして死後の地に足を踏み入れた者は
もう安らかな眠りを得ることはできない
足を踏み入れた時点で死に嫌われているのだから
-後悔する者の書-
▲!

一度身を落とせば戻る事は出来ない

壊せ・殺せ・奪い取れ
そして逃げ切れ
-ならず者の掟の書-
▲!

用法を解するために

即効性なら動物性
体内に侵入した時点で症状が発症する
遅効性なら植物性
体内に侵入した時点では気付きすらしないがじりじりとその症状を発症する
血清はその毒を持つ動物や植物からしか生成することが出来ない
解毒する為に必要な血清の量はだいたい毒の量に対して倍以上の量が必要である
また一つの個体から生成できる血清の量はその個体から抽出できる毒の量より少ない
-毒学士の書-
▲!

剣を扱う者が剣士だけとは限らない

純粋な鉄にはいい粉がつく
芯から錆びを遠ざける鉄粉が
分厚い大剣を何度も火にくぐらせて
打ち直してるうちに刀身が真っ黒くなって刃に光を宿す
そうなるには何千何万とぶった切って何百と打ち直さにゃならんがな
-熟練の名工の書-
▲!

大きな結果を生んだ要因を探るのは容易ではない

あった、鉛の箱だ
あー、まずいなこじ開けられてる
まてよ、さらにまずいな、凍り付いてて分かりづらいが
この個室自体が鉛で出来てる
この辺り一帯の異常な気象はこれのせいだな
さて、問題なのはこじ開けた馬鹿がここにあったものに喰われた挙句
どう変態してて何処に居を構えているかだな
こいつは骨が折れそうだ
-古法遺物調査員の書-
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魂に寄生する命は特殊な力を持つ

最初は右肩に出来た小さな腫れ物だった
しかし一向に治る気配はなく
その大きさは日に日に増すばかりだった
ある日その瘤は言葉とも鳴き声ともとれる
音を発する様になった
深い皺の様に見えていたものが今ではしっかりと
口として形成されている
少しづつではあるが言葉を覚え勝手に喋る様になった
喋る内容は身の周りでこれから起ころうとしている事を的確に言い当てる
しかし放つ言葉が唐突過ぎて何の事を言っているかはよく分からなかった
言葉の意味をよく考えある程度なにについての事を
言っているのかが分かるようになってきたある日
その瘤は母親を自らの手で殺す事になると言った
-予言の瘤の書-
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頭のネジが外れた奴はどこにでもいる

御尋ね者の張り紙を見ている御尋ね者が何やらぼやいている

こんなに安いのかよ俺様も舐められたものだぜ
こんな金額じゃ誰も狩りにこねーだろーが馬鹿がっ
狩りに来たやつを逆に狩り殺すのが楽しいのによ
わざわざ計画立ててお偉いさんぶっ殺すのもめんどくせーしなー
そもそもそんなんじゃスリルが足りねー
いつ何時狙われてるかもわからねー
そのスリルが楽しーってのによー
あーくそっ
考えただけでも腹の底がぞくぞくしてきた
-危険に飢えたお訪ね者の書-
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宝の持ち腐れか趣味の範囲か

いつも通りな様子の二人の男はその繊細な泡で
鼻の下に白い口髭を作りながらスタウトを飲んでいる
片方の男が何やら珍しい物を持っている

面長の男:おい、ちょっとこれ見てくれよ
細目の男:おぉ、形が整ってる割に大きくて綺麗な羽だな
面長の男:...それだけかよ
細目の男:ん?おっ、よく見るとほのかに輝いてるな
面長の男:いや、そうじゃなくて
細目の男:ん?違うのか?
面長の男:なんだお前知らないのかよ?
細目の男:その羽には何か御利益でもあるのかい?
面長の男:そう!この羽には恐ろしい人喰い虎を遠ざけてくれる効果があるんだよ
細目の男:そうなのか、それはすごいな
面長の男:どうやらこのほのかな虹色の輝きを嫌がって近づかないらしいぞ
細目の男:ほぅ、なるほど、それで?
面長の男:それで?ってなんだよ
細目の男:お前さんはその恐ろしい人喰い虎に出くわすような所に行くのかい?
面長の男:いや、行かないけどよ
細目の男:なーんだ、ただの自慢か
面長の男:珍しい物が手に入ったからせっかく持って来たのになんだよ
細目の男:ははぁー、それはそれはどうも有難う御座います
面長の男:そんなに茶化すことないだろ
細目の男:茶化すなんて滅相も御座いません
面長の男:...
細目の男:まぁ、そんなに怒りなさんなって、ほら御守の羽にも一つ乾杯といこう
-不思議な珍品も酒の肴の書-
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理解の一歩目は真似る事から

全神経を研ぎ澄まして感じ動きをトレースするんだ
慣れてきたらその思考を頭と心に降臨させろ
本能の内に隠しているストレスすらも
それができれば真似る事など造作もない事だ
たとえ野生の動物であっても
-写し身の心得の書-
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覚醒か?それとも...

目眩に身体が揺らぐ
視界に映るもの全ての動きがすごくゆっくりに映る
まるで時の流れが目に見えるかの様に
目眩に身体が揺らぐ
地面がまるで砂糖菓子の様に柔らかく感じる
体重が半分になったかの様に身体が軽い
-薬物による効果の書-
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入り口は迷い込んだ先の夢

夢の街それは呪いに近い
気が付くと望む物を手にし気が付くと無くなっている
身体は自由な様で不自由で行なおうと思えば既に行なって
眠りの中で眠りに着くその眠りで見る夢は現実か?夢の中の夢か?
その街に訪れる夜は昼は月は陽は
入ったことにも気が付かない風か旅人か
違和感の調和と虚像の現実
地を歩いていたと思えば天を歩き
前に立つ者は後ろに並ぶ
全てが可能で不可能な街
-眠りの街の書-
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行く事が出来るから同じ様に戻る事が出来るとは限らない

ほれ、あの崖の上に城が立ってるじゃろう?
あの城には近づかない方がえぇぞ
興味本位で近づいていい城じゃないんじゃ
あの城に盗みに入った人間がいたんじゃがな
グチャグチャの肉塊にされてな
村の入り口に捨てられてたことが何度かあったんじゃ
しかし顔だけはまともに残っててな
助けてくれーって悲痛な叫びをあげるんじゃよ
まるでそうすることだけを許されたかの様にな
あれは人間の仕業じゃぁねぇなぁ
もしあの城に行こうとしてるのなら悪いこと言わね
やめといた方がえぇぞ
-冒険者をさとす村民の書-
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高いか?安いか?

巨漢の戦士はその体型と勢いから
いるだけで仲間に心強さと勇気を与え
前線を鼓舞し奮い立たせる
ただ食糧はその分多く用意する必要がある
-効果に払う対価の書-
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本質を見極めるために

目を閉じろ
心の目を開け
瞳に映らないことを
心に映す事が出来るはずだ
-心眼に映すの書-
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求める素質はどこに?

一番大切なものは自分の命
自らの技術に絶大な自信
協調性あり、対応力は高い
筋力と身体能力から推察するに
戦闘力は中の上ってところか?
うむ、悪くない
確かに悪くない人材だ
だが、この手のタイプを先頭に立たせるのは危険だな
今回の小隊長は別の者に任せよう

なぜって?
明確な理由はないが敢えて言うなら経験則だ
-探索隊本部責任者の書-
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牛の頭か?人の体か?

牛の足跡分かるか?
いやな、あれが人の足跡と同じ様な軌跡で続いてるのを見たことがあるんだよ
その足跡を追ってはみたんが途中で恐ろしくなってやめちまった
もしあの時あのまま辿い続けてたら足跡の主に会っちまっていたのかな?
-蹄の跡の書-
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内なる者は抑える事を知らず

ドクン...
この心臓の鼓動がもう一人を起こす
強い目眩で焦点が幾重にも重なる
抑えきれない暴力的な衝動で身体が震え始める
全身の筋肉がはち切れんばかりに膨れ上がる
握りしめた拳が一回り大きなる
幾重にも重なっていた焦点が一つに収束する
全ての束縛を振り切る様に咆哮をあげる
-揺り起こされた暴力の書-
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危うしを近寄せず

遭遇したらその時点で死を覚悟しろ
全神経を鋭敏に尖らせて危機の接近を感知しろ
隙を突けばどうにかなるなんて甘い考えは捨ててしまったほうがいい
危める者とは絶対的な力の差が有ると肝に命じよ
まずは遭遇しない事だその次に気づかれない事
その二つを鉄則とすれば
どのような状況でも死に至る危険を遠ざける事ができる
-危を躱す者の書-
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継続するからこそ一瞬に意味が生まれる

一息なら持つだろう
では二息だったら?十挙動では?一刻後まででは?一日中なら?
一瞬一回だけ行える事に大した重要性は無いんだよ
同じペースで同じ事を行い続ける事が重要なんだ
-継続する者の書-
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派手であれば派手である程

気が付くと斜め前にすごく派手な格好の男性がいる
こんなにも派手なら追い抜かれる時に気付くはずなのに
銀色の頭髪を逆立て
紫地に白いペイズリー柄の入った
右の袖は長袖、左の袖は半袖の服を着て
黄色で膝下丈のズボンを履き
緑の木靴を履いている
背丈は一般的な男性よりも少し高い
こんなにも派手で目立つ身なりをしているのに
ふとした拍子に見失い再び見つける事はできなかった
-隠伏者の装いの書-
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無を有に奇を常へ、表裏にあらず

人が見れば10人に9人は奇異な行動としか見なさないだろう
しかし本人はそれなりの考えと理念の元に行動している
その行動がどんなに突飛で意味がない様に見えても順番と理由がある
大抵の場合は気付かない内にその奇異な行動の恩恵を受けている
恩恵を受けている事すら気にも留めずに
-尊人の行いの書-
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微風と突風、春雨と豪雨

同じ属性・性質の精霊術でも契約を交わした精霊の違いで
威力の差異が発生する
同様に契約者が精霊への理解を深め学び練られたかによっても
威力には段違いの差が生まれる
また契約時に差し出した代償と精霊にどれほど気に入られているかによっても
大きな差異が発生する
それはまるで紡ぐ本数よって強度が倍以上も違う生糸の様に
精霊術は任意に発生させる局地的かつ超常的な自然現象であり
詠唱者の現象に対する理解度の深さである
ただ一つ決定的に相違する点を上げるとすれば
詠唱者の都合である
-精霊術の基礎理解の書-
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在りし者の有るべき姿

三対の翼を持つ巨大な怪鳥
頸元とくちばしの付け根辺りには羽毛に混ざり鱗も生えている
五指の脚が一対と六指の脚が一脚あり高山の山頂に繁る霊樹に居を構える
頭には王冠の様なトサカを持ちその羽は幸運と繁栄の象徴とされている
人語を解しまた操ると言われている
その高山上空の王であり周辺の生態系を管理する者である
-生態系が調和するためにの書-
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相性の主従と相互作用の連続

火を主体に考えた時
水との相性が悪く
木を喰い育つ
土に力を与える一方
鉱物からは力を吸収する
では火を大きく強くするにはどうしたらいいか?
まず水と土は必要ない
木と鉱石をどう組み合わせる事によって
大きく強くする事ができるか
大きさと強さの均衡をいかに維持するか又は崩壊させるか
まずはそこから始めてみよう
-初級理術入門の書-
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誰でも手にする事が出来るとは限らない

精霊の涙は契約者にのみ贈られる慈愛の証
しかし有限であり砕けるものである
自分のために使うも売って金にするも
与えられた者の自由だが
いつかは砕けるそういうものである
-幻の宝珠の書-
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